安定計算について

四国ソイル

基本はCOSTANA

安定計算にかかる前に浸透流計算を行う。
浸透流計算の結果から計算された間隙水圧・・ではなく、水面形状を取得して安定計算ソフトに 移行する。
基本的には安定計算には富士通F.P.IのCOSTANAを使用している。
安定計算は古くから大きくは変わっておらず、修正フェレニュウス式を基本としている。 有限要素法による応力解析による安定解析もあるだろうが、ここではいわゆる安定計算のことに 限定している。
安定計算は、昔、電卓すら無かった頃ソロバンとスライドルールで計算していた 方法と全く同じ方法で今でも計算されており、変わったことは精度が良くなり、細かく計算出来るように なったくらいである。
したがって、計算は誰にでも何のプログラムが無くても出来るし、エクセルやその他のスクリプトでこなす ことも出来る。
富士通F.P.I製のプログラムを使用するのは、オーソライズされたものを 使用するという権威付けになると思う。

間隙水圧について

水圧図安定計算としては以上で説明は終わりであるが、 ここでは修正フェレニュウス式の間隙水圧について考える。
通常、すべり面に作用する間隙水圧は水面の高さとすべり面の高さ”(hw - hs)*ρw”で計算される。 堤体内の地下水は静水圧分布する、という考えである。
左図は、ある断面での浸透流計算結果を整理したものである。この図で任意のX位置での水圧分布を整理して 水圧分布図として示した。
水面の高さから計算した水圧は静水圧分布(青+オレンジ)で示されるが、降雨による下向きの流れのため実際の 間隙水圧(青)はその静水圧分布よりかなり小さい(オレンジの分)結果となる。もし、すべり面が赤線の位置なら、 従来pw=35.2kN/m2で計算されていたものが、正しくはpw=21.1kN/m2であることになる。
すべり面での間隙水圧が小さくなると言うことは安全率は大きくなると言うことで、従来少なからず安全率を 過小評価している可能性がある。

安定計算ソフト

安定計算安定計算の前段階で浸透流計算を行って入る。 浸透流計算の段階でモデルを作成し、メッシュを作成しており、結果の水圧は各節点毎に得られている。
安定計算を行うのに、これらの既存のデータを利用しない手はない。
ここでは、それらを利用した安定計算をプログラム化した。
このプログラムは、浸透流計算結果”out4.out” (浸透流計算で説明)を読み込み、断面の形状、節点の水圧、要素の流速などを読み込む、あと不足するのは 土質定数と円弧の中心データでありそれらは、プログラム上で読み込む。それで直ちに安定計算が実施出来る。
このプログラムは、浸透流計算のところでダウンロードしていれば、同梱されている。

安定図計算結果は、上図のプログラム画面とほぼ同じ状態で印刷 出来る他、左図のように浸透流計算結果の際の図に安定計算結果を上書き出来る。
この図には、すべり面の水圧が水頭として表示されるので、水面との違いを比較することも出来る。

細片データ計算結果は、図として画像やCADで表示される他 各グリッドでの結果や最小安全率での細片データも印刷で得られる。
このプログラムは、安定計算の従来のやり方を否定するものでは無く、計算は今後もCOSTANAなど、オーソライズ、検証 されたものを使用するが、水圧の考え方について、こういう見方もしておく必要があるのでは、と思っている。

もう少し細かい資料を以下から参考にしてください。